千葉光の村授産園は心障学級中学部、養護学校高等部に続く教育機関としての役割を果たすために、設立した入所授産施設である。
無限の可能性を信じて出来るようになるまで手をとり教え続け、強く、賢く、豊かな人間性を目指して、終生社会の一員として、自信を持ち、堂々と、豊かに、楽しく生きていける人間を育てると言う目標に沿って運営する。
※このように運営した結果は、 16 年間で 81 名の卒業生を出し、そのうちの 7 割が就職し、そのうちの 7 割が定着しています。家庭を支えているものもおり、また自分の事は自分でやり、家の掃除や調理、後始末などをやってくれるようになり、家にいてくれて有難い存在となっています。親が高年齢になるに連れ、「老後はこの子がいるから安心です。これもひとえに光の村の教育のお陰です。」と卒業して 10 数年経つ親御さんたちからも感謝されています。
育てられ方によって起きた障害
知的障害を持った人は知的能力や身体能力が劣っています。その上に「発達の遅れがあるから出来ないのは当然だし、無理強いは情緒をゆがめるのではないか」と言う親や社会全体の考え方から、過保護に育ち、「身の回りのことは全てやってもらう生活、欲しい物は全て与えられる生活」「運動らしい運動は殆どせず、身体を動かさない生活」を長い間続けてきております。
その結果、体を動かすことを嫌い、無気力であきっぽく、意欲に乏しく、衝動的な人間として育ちます。大きくなるにつれて、我が儘が高じて、自分の欲求を通すために、暴力を振るうようにもなります。
また筋肉、骨格、神経、内臓なども十分発達せず、うどの大木のように耐久力のない、超肥満気味で、生活習慣病をすでに内在して入園してくる人もおります。
知恵遅れの人にとり、障害を持って生まれてきたことが不幸なのではなく、誤った育てられ方をして、「だめな人」「わからない人」「できない人」として理解されているほうが不幸なのです。
自分の持っている能力を精一杯発揮して生きていく力を身に付け、自分の力で歩いていけるほど、どんな人間にとっても幸せなことはないと思います。
はじめから高い能力を持った人はいません。どんな人間でも、人として生まれてきたからには、能力の低い状態から、教育と学習によって、可能性が開発され、発達していくのです。持っている力を発揮できるかどうかは、その人の力を発揮できるに必要な回数を繰り返したかどうかにかかっていると思います。
誤った考えと育てられ方によって生じた生活そのものが、社会の1員として働いていくための最大の障害になるのであって、知恵が低いと言う問題そのもののせいではないと思います。
知的障害者にとって、一番大事な教育とは
1、暮らしを変える
良い暮らし方を身につける教育は、人間を人間として育て上げる第1の関門です。人間の成長発達は、身辺の処理が確かに出来るようになると、急速に進み始めます。だから身辺処理能力の確立ということは、人間が社会生活を営む上にも、さらに、賢く、豊かに育つと言う意味からも不可欠の条件です。
普通字の場合は、1歳半ぐらいから「1人でする、1人でする」と脱いだり、着たり、食べたりしながら、独立心を自分自身で育てていきます。5−6歳までに自然と、生活習慣が身についていきます。
知恵遅れの場合は、ほっておけば、いつまで経っても正しく出来るようにはならず、教えてもなかなか効果が上がらないので、至れり尽くせりでやってもらっております。そのため自分のことは自分でするものだとは思わず、自分でやろうとは思わず、自分でやろうと言う気持ちも育ちません。
賢さを育てる良い暮らし方というのは、年齢に応じて、身のまわりのことは、自分ですると言う簡単なことですがこれがなかなかうまくいきません。これは手や指の働きが、分化、発達していないと成り立ちません。
基本的生活習慣の指導はそのまま運動機能の訓練であり、神経機能を分化、発達させる格好の刺激となります。良い暮らし方を身につけることは、知的欠陥を補い、回復させるための1番大切な教育です。千葉光の村ではまず身のまわりの生活(排泄、着脱、洗面、歯磨き、洗体、洗髪、布団敷き、上げ、洗濯、掃除、整理整頓等)が自分で出来るようにさせることに重点をおいて支援します。
出来る様になるまでは毎日、毎日手をとって教え続けます。動作を細かく分析して、一定の方法を決め、「」繰り返し、繰り返し」人が変わっても、場所が変わっても定着するまで教えこんで行かなければなりません。
自分の生活が出来るようになるにつれ、「自分でやらねばならないのだ」と言う気持ちが出来、「自分にもこうした生活が出来るのだ」と言う自信が育っていき、自主性の基礎が耕されていきます。また周りから認められることで、自分にさらに自身が持てるようになり、明るく生き生きした表情で、生活出来る様になります。
生活が出来るようになるにつれ、自分を抑えることが出来る様になり、集中力や持続力や善悪のけじめも付いて、情緒も安定していきます。
毎日時計を見ながら、行動したり、評価をつけて、工賃の計算をしたり、日記を書き続ける中で、時計や、お金の利用が出来る様になり、文章も書けるようになり、返事、挨拶も大きな声ではっきり言えるようになるなど、知的な面も社会性も大きく伸びていきます。
2、身体を作る
自分から身体を動かさない人から、身体を動かすことへの抵抗を取り去り、また地域社会の中で生きて働いて暮らしていくために、「歩く、走る、跳ぶ、人に合わせる、指示を聞き取って動く」などという人間の基本的動作の訓練を体力つくりの中心と考えて、起床すると、部位運動や3−5キロのマラソンを毎朝やり続けています。
入園当初は指先の力、腕の力、足腰の力、手首の柔軟性などを付けるために、雑巾を濯ぐ、絞る、5指を広げて雑巾の上におき、廊下を走り拭くことから始めます。毎日やり続けることで見違えるほど、指先や手腕や足腰の力が付き、2本足でしっかり立って仕事が出来る基本が出来ます。背筋を伸ばして、食事をしたり、2本足で立っているだけでも、腹筋力や、背筋力が育っていっております。
身体を動かし、規則正しい生活をすることで、肥満も解消し、生活習慣病予備軍から抜け出していきます。
手は第2の脳と言われておりますが、毎日の生活や身体作りの中で、十分手を使いこなすことで、指先の機能を回復させ、ひいては脳神経まで目覚めさせることになり、入園当初は殆ど動かなかった脳波も、2−3年経つと少しずつ動くようになるにつれ、表情も生き生きとしてきて、老人のように見えた表情も若者らしく変わっていきます。体を十分動かし、生活を自分でやることが如何に大事であるかを示しております。
3、仕事をする
31mの廊下の走り拭きがスムースに出来るようになるにつれて、自分も他の人と同じような仕事をやりたい、という気持ちが芽生えてきます。生活や体力作りも自分からやれるようになると、基礎作業に入ります。
返事や、挨拶(オ、ア、シ、ス等)が出来、指示を聞いて動いたり、報告をするなど、社会に出て必要な基本をここでも十分に指導されます。
毎日自分で評価して、それに応じた工賃をもらい、年3回ボーナスがもらえるのを楽しみに頑張って働けるようになり、月平均17000円をもらっています。毎日もらう工賃をためて、週末帰宅する電車賃にしたり、必要な衣類や、好みに合ったものを買ったり、ボーナスからは祖父母や兄弟に小遣いを上げたり、家出必要なものを購入する1部を出したりして、親や兄弟から有難い存在となっております。
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